仙崎市場レポート1番セリ、平成25年10月10日とガンガゼについての考察


台風一過、漁場は目立った被害がなく明けて1番のセリ会場。ただし網船がほぼ休漁、は沖合の吹き返しが残るため。ところで10月10日は『マグロの日』だそうですが、本稿とはまったく関係なくてすいません。

ご覧の小商いの中、一本釣りのケンサキイカが多数を占めました。通、川尻、野波瀬、立石の4支店ですね。1隻辺りの出荷箱数が10箱~30箱と多いので、かなり遠出したんじゃないでしょうか。仙崎ぶとイカ宣言が発令されてからというもの、箱数がまとまっていましたので浜値は最高5,000円/箱だったものが、この日は13,000円/箱がついていました。数が少ないのもあるんですが、その箱のイカは「ぶち」太い!鮮魚コーナーではちょっと見たことないくらい。割り算すると浜値1杯1,300円のケンサキイカですもんね~。


こちらは磯建網のアカバナですが、大きくなったでしょ。船によって絞め方が違い、氷血締めだけのものや、

このようにアギ折りしてから血抜きしているものもあります。浜値はどちらが高いでしょう?


アカミズの姿がありました。こちらも磯建、この天候でよく揚がったものですね。10月1日より山口県下全域でアカミズは30cm未満捕獲禁止になってます。遊漁のみなさまもご注意くださいませ。


ところで、このウニわかりますか。クロウニみたいだけど棘が長くて毒があるから刺されると痛い!ある地方では藻場を食い荒らす食害を指摘し、駆除に努めているという本種の正体はガンガゼ、長門沿岸域にも生息してます。実は今年の夏、管内の一部海域で藻場が枯れました。業界用語では『磯焼け』という現象ですけど、ほとんどの漁業者がこんなにひどいのは滅多にないという状態です。異常な高水温からじゃないかと話す者やウニなどの食害が示唆されてます。

ならばガゼを食べちゃおう!市場で長門のウニ屋さんを見つけて、ガンガゼは食べられるのかという話しを聞いてみました。販売部長も加わって立ち会議。これまで取り上げたことなかったんですけど、山口県は全国6番目のウニ漁獲産地だよ。仙崎市場は高級アカウニ、クロウニの取引があるんですよね。今度まとめてみたいと考えてますが、ガンガゼも板ウニとしてセリにでてると聞いてびっくり。「加熱用」と札がつき生食には向かないみたいですが、野波瀬や仙崎支店が板に立てるという話でした。安価のためほとんど流通してなく、地元では味噌仕立てで汁物にするそうです。ガゼのほかでは似たような形の「イナギ」というウニも野波瀬では採っているのだそうで、興味深い課題を頂きました。

ちなみに浜値ですけどおおよそこのような比率、

ガゼでアカウニのおよそ1/3、イナギになればクロウニとほぼ同等取引。ですが、数年前まで年間500kg水揚げしてたイナギは、近年採捕されていません。棘が危険なガゼは手間の割に価格が見合わないためか、これも徐々に取扱量が落ちてます。

カジメやホンダワラなど海藻は魚たちのゆりかごであり、サザエ、アワビを育てる海の牧草地帯。確証されてませんけど、ガゼなどを駆除することにより豊かな海を育てることができるなら、これから取り組んでゆきたいですね。

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